マネーリテラシーという言葉をご存じでしょうか。ご存じでない方も多いことでしょうから、この記事で詳しく解説します。
マネーリテラシーが高くなると、お金に関する知識と判断力が身に付き、効率よくお金を増やすことができるともいわれています。その理由についても考えてみましょう。
目次
マネーリテラシーの意味とは?
まずは、マネーリテラシーの意味を確認します。マネーについては説明の必要はないでしょう。お金のことです。
では、リテラシーのほうはというと、英語の「literacy」からきた言葉です。その本来の意味は、「読み書きの能力」ということですが、マネーリテラシーといった場合、別の意味になります。
この場合は、「ある分野に関する知識や能力を活用する力」といったほどの意味です。現代では、この意味で使われることが多くなっています。
ということは、マネーリテラシーで、「お金の知識や能力を活用して、判断する能力」という意味になるでしょう。
金融庁が挙げているマネーリテラシーの分野
金融庁では、「最低限身に付けるべき金融リテラシー(マネーリテラシーのこと)」として、4分野・15項目を挙げています。4分野とは次のようなものです。
- 家計管理
- 生活設計
- 金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択
- 外部の知見の適切な活用
それぞれの項目の詳細を見てみます。
家計管理
最初に身に付けるべきマネーリテラシーは家計管理。適切な収支管理を行い、赤字解消、黒字確保を習慣化します。
家計においては、収入と支出のバランスがどうなっているか正しく管理することが非常に重要です。支出よりも収入を増やすことで、手元にお金が残るようになり、貯金もできます。
生活設計
次に身に付けるべきマネーリテラシーは生活設計。ライフプランを明確化し、そのライフプランに必要な資金の確保の必要性を理解することです。
ライフプラン実現のために、いつまでにどのくらいの資金が必要か考えたうえで、貯金や資産運用を行っていきます。
金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択
3番目に身に付けるべきマネーリテラシーは、金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択。少し長い項目になりますが、簡単に言うと、金融と経済、金融取引などの基礎知識を身に付けて、適切な金融商品を選択することです。
金融取引には様々な注意点がありますが、それを確認するとともに、金融経済情勢に応じた金融商品の選択が重要。取引の実際のコストの把握も必要です。
外部の知見の適切な活用
4番目に身に付けるべきマネーリテラシーは、外部の知見の適切な活用。外部の知見とは、ファイナンシャルプランナーや金融機関の担当者などのお金の専門家のことです。
金融商品の利用では、このような専門家のアドバイスを活用し、適切に運用していくことが必要になってきます。自分だけの判断では、情勢を見誤ることもあるので、その道のプロに助言を求めるのです。
日本人はマネーリテラシーが低いといわれている
金融庁が推奨しているマネーリテラシーの身に付ける項目について、日本人のレベルは低いといわれています。
「金融リテラシー調査 2019年」の結果によると、上記4項目の日本人の正答率は56.6%でした。米国の共通問題の正解率よりも6%低く、英・独・仏と比べても下回っています。
この違いの原因ですが、アメリカでは学生時代のころからマネーリテラシーに関する教育が行われています。そのための教科書もあり、高校生も家計管理などを学ぶのです。
それと比べると、日本ではマネーリテラシーの教育が十分ではありません。そのために、理解度の差となって表れているのでしょう。
マネーリテラシーを身に付けるメリット
マネーリテラシーを身に付けると、いくつものメリットがあります。どのようなメリットか、以下に挙げてみましょう。
資産形成ができるようになる
マネーリテラシーが身に付くと、資産形成を行いやすくなります。マネーリテラシーにより正しい投資の知識が得られ、確実に資金を増やす方法もわかるようになります。
現在の日本は超低金利になっていて、預貯金だけでは十分な資産形成ができません。そこで利用したいのが投資による資産形成ですが。マネーリテラシーが低い人だと、投資に興味を持たなかったり、ギャンブルのように行ったりして、損をすることが良くあります。
その点、マネーリテラシーが高い人だと、資産形成について深く勉強しているので、投資を効率よくできるようになります。
投資詐欺などを避けられる
マネーリテラシーをしっかり学んでおけば、投資詐欺などにも引っ掛かりにくくなります。世の中にはうまいことを言って、商品やサービスに勧誘しようという業者がたくさんあります。「短期間で資産が数倍に!」「一部の人だけの特典ですよ!」などといい、誘ってきます。
しかし、そのような業者に騙されたら大変。儲かるどころか、大切な資金を失うことにもなりかねません。
その点、マネーリテラシーを身に付けた人は、危ない金融商品の見分け方もわかっています。「これはおかしい」と早く判断でき、そのような商品に手を出しません。
投資詐欺商品の見分けは知識がなくてもできる場合はありますが、マネーリテラシーを学んでおけば、確実に避けられるようになるでしょう。
資産形成ができるようになる
マネーリテラシーが身に付くと、資産形成を行いやすくなります。マネーリテラシーにより正しい投資の知識が得られ、確実に資金を増やす方法もわかるようになります。
経済的に自立できる
マネーリテラシーを身に付ければ、経済的な自立にもつながります。ライフプランに応じた資産形成方法、家計設計、節約もできるようになり、正しいお金の管理もできるようになります。
そうなれば、経済的にも豊かになって、自分一人でもやっていけるようになるものです。
人生においては、大きなお金が必要な時期が時々ありますが、そのようなときのためには普段のお金の管理が大事。貯蓄を増やすのはもちろん、日頃から支出を減らし、収入を増やす努力をしておかなければいけません。
マナーリテラシーを学んだ人は、この点を習得しています。そのために、いざとなった時も対応ができ、経済的に誰かを頼る必要がないのです。
マネーリテラシーを学ぶ方法
日本では学校でマネーリテラシーの教育があまり行われていないようなので、自分で勉強しなければいけません。その学習のために役立つ方法をいくつか紹介しましょう。
書籍で学ぶ
書籍を通して、マネーリテラシーについて学ぶことができます。おすすめの書籍は次のようなものです。
- 「知らないと損する 池上彰のお金の学校」池上彰著
- 「図解・最新 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!」山崎元、大橋弘祐著
- 「改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん」ロバート・キヨサキ著
1は池上彰さんがお金に関する知識をまとめた本。銀行や保険、投資、税金などに関する知るべき知識が丁寧に説かれています。
2は投資の基礎を説いた本。初心者向けで、お金の増やし方が載っています。
3は「金持ち父さん」と「貧乏父さん」の2人の話。その違いと人生における影響が説かれています。そのうえで、お金持ちになる方法も解説しています。
YouTubeで学ぶ
YouTubeもマネーリテラシーを学ぶ最適な教材。いろいろな教材が用意されていて、お金に関する知識がしっかり身に付くようになっています。その中から、1つだけおすすめ教材を取り上げてみましょう。
- 「両学長 リベラルアーツ大学」
「両学長 リベラルアーツ大学」は、1本15分ほどの動画になっていて、お金を貯める力、稼ぐ力、増やす力、守る力、使う力を得るノウハウを紹介しています。
動画の口調は関西弁になっていますが、冗談も交え初心者でも楽しく学べるようになっています。
経済ニュースを見る
経済ニュースを普段見ない人が見ても、よく分からないかもしれませんが、習慣にすると、次第に内容をつかめるようになってきます。
経済ニュースもマネーリテラシーを学ぶうえでの重要分野。興味がある企業や分野からでもいいので、日ごろからよくチェックするようにしましょう。
少額から投資してみる
マネーリテラシーを学んで、少し身に付いたと思ったら、投資をしてみてはいかがでしょうか。といっても、いきなり高額の投資ではリスクが高いので、小額から始めてみます。
少額といえども実際に投資をして、取引を体験してみると、マネーリテラシーで学んだことが活かせます。知識の着実な習得にも役立つでしょう。
マネーリテラシーを学んで、しっかりお金の管理をしよう
今回は、マネーリテラシーとはどういうものかの解説でした。マネーリテラシーは人生において経済的な成功を得るために重要な知識です。
残念ながら、日本ではマネーリテラシーの教育が学校で十分行われていないため、知識習得度は低くなっていますが、自分で勉強することは可能。しっかり勉強をして、正しくお金の管理をし、豊かな経済生活を送ってください。